ヨーガ心理セラピーとは何か
ヨガと聞くとポーズの練習を想像する方が多いかもしれません。今日ではヨガはフィットネスの一部として広く知られていますが、本来は現在のようなポーズの練習ではなく、心の問題を解決するための方法でした。
ヨーガ心理セラピーでは古くから伝わるヨガの教えを心理学として利用し、カウンセリングや瞑想の実習などによって心の問題を解決していきます。
心との向き合い方
現代の生活は一見豊かなように見えますが、その裏では大変なストレスを抱える人が増えています。職場や学校、家庭での人間関係に問題を抱えていたり、日常の不安や怒りは大きな問題です。こういった心の問題が深刻になればうつ病や引きこもりといった具体的な症状として現れることもあります。
ヨーガ心理セラピーでは、心とは自分自身ではなく、向き合うもの、そして道具として使うものという視点を養っていきます。つまり、私が心の主人であって、心は使用人のようなものです。不安や怒り、嫉妬、過去のトラウマなどに悩まされているのであれば、その主従関係は逆転しているのです。あなたは心に使われて、心の支配下にあります。そうではなく、心を支配し自由に使うことができるようになることが心の問題を解決するためにとても大切な取り組みなのです。
自分についての理解
現代では多くの人が「私=心や体」であると考えています。この中でも特に心は自分らしいものではないでしょうか。しかし、ヨーガ心理学では心は私ではなく、外界との接触の際に生じる非常に表面的な精神作用であると捉えています。つまり、一般的に心と呼ばれるものは、何か美味しそうな食べ物を見ると食べたくなったり、誰かに悪口を言われると急に考え込んだりと、周りに強く影響されてしまうからです。
主に身体にかかわる心の欲求を欲望と呼びます。欲望を満足させることは確かに私たちを大変喜ばせてくれますが、一方で食べ過ぎによる肥満や病気を引き起こしたり、あるいは性的な欲望によって友人関係や家族関係を崩壊させることもあります。したがって、欲望は自分の意志である程度制御する必要があるということが分かります。
また、何か原因を分析したりするような心の働きを思考と呼びます。私たちの日常生活では思考を非常によく使っています。この心の働きによって私たちは問題を解決したり何か目標を実現することもできますが、一方で失敗した事の原因を繰り返し考えてしまったり、他人との比較によって劣等感に苦しむ場合も多いのです。したがって、思考も欲望と同じく自分意志によって制御する必要があります。つまり、考えるべきことだけに思考を使い、必要でない思考はできるだけ止めることができるようにならなければいけません。
このように勝手に動いてしまう心を自分の意志によって自由にコントロールできるようになることが、ヨーガ心理セラピーの目的の一つです。